ライフスタイルや価値観が多様化する中、製品やサービスは機能の数や性能、目先の新しさだけでは選ばれない局面を迎えています。そこで求められているのは、製品やサービスで得られる“うれしさ・感動・喜び”といった経験価値(Experience)ではないか-そう考えた日立は、お客さまビジネスの戦略・構想の段階から、経験価値の視点で新たな事業やサービスを「協創」していく取り組みを開始。これまで多くのお客さまと、感動を共有するプロジェクトを推進してきました。今回の特集では、日立が提供する特徴的な価値協創手法「Exアプローチ」とその実践例、ソリューションをご紹介します。

都市化の急速な進行や世界経済のリバランス、テクノロジーの進歩といったメガトレンドを背景に、世界各地で、よりよい社会、快適な生活、競争力ある産業を形成するためのイノベーション創出が進んでいます。その基盤技術の1つとして注目されるIoT(※1)は、インダストリー4.0(第四次産業革命)に代表されるように、ビッグデータと呼ばれるぼう大な情報を知識に変え、それを原動力に幅広い技術や知見、サービスを統合し、革新的なビジネスモデルを生み出す「オープンイノベーション」を加速させています。

日立は創出されたイノベーションを通じて社会課題の解決に貢献する「社会イノベーション事業」をグローバルに展開してきました。そこでは、運用や制御などのOT(※2)とIT、モノづくり力といった日立の強みと知見を、お客さまやパートナーの知見と融合し、より大きなイノベーションを生み出す「協創」が重要な役割を果たしています。

※1 Internet of Things
※2 Operation Technology

人間中心設計を貫いてきた日立

日立の「協創」の一端を担うのが、お客さまの業務を深く理解し、課題や問題をともに解決しながら、お客さまと喜びあえる経験価値(Experience)を創り出していくアプローチです。「使っていてうれしい」「思いどおりになる」「安心感がある」-製品やサービスを通じて得られるユーザーの“想い”をかなえるため、日立は半世紀以上にわたり、デザインと技術を一体化した人間中心設計の視点から経験価値に関する技術やノウハウを蓄積してきました。

家電やITシステムだけでなく、エネルギー・交通・都市開発・ヘルスケアなど、幅広い社会インフラのユーザーインタフェースやソリューション設計にまで貫かれているこの人間中心設計のフィロソフィーは、従来型の性能・価格競争とは異なり、お客さまが製品やサービスを実際に使った際に得られる、質の高い「経験」や「満足感」を新たな価値として提供するものです。

経験価値は、製品やサービスの開発者が一方的に創り出せるものではありません。開発に携わる関係者がお客さま一人ひとりのニーズを把握し、お客さまと接するすべての局面で新たな価値創造の種を見いだし、実際に提供できるカタチとして創造していく作業が必要となります。例えば、社内の業務システムを構築する際には、開発者が考える効率化やスピード化といった要件のみを重要視するのではなく、そのシステムを使うユーザーの視点に立ち、本当に満足できる機能やインタフェース、業務プロセスなどを開発関係者とユーザーが一体となって創り上げていく作業が求められているのです。

日立は1990年代から、デザイン本部(現 東京社会イノベーション協創センタ:CSI東京)を中心に、さまざまな製品やシステム、サービスの開発において、事業部や商品企画担当者、設計者、ユーザーなどが、時間をかけた対話とプロトタイプ作成などにより、豊かな経験価値をデザインしていく手法とツールを編み出してきました。

画像: 「Exアプローチ」の概要

「Exアプローチ」の概要

ステークホルダー全員の合意形成につなげる「Exアプローチ」

日立が独自に開発した価値協創手法とツールを、お客さまのITシステム構築の超上流工程に適用したのが「Exアプローチ」です。

超上流工程とは、具体的なシステムの要件定義に入る前の構想策定やシステム化計画の段階を指します。従来型のシステム開発プロセスでは、要件定義をしていても、設計・構築段階で手戻りが発生したり、稼働直前や稼働後に、現場ニーズとのかい離が発覚したりするようなケースが少なからず見受けられました。

これに対し「Exアプローチ」を用いた場合は、コンサルタント、デザイナー、エンジニアといった専門知識を持つ日立のスタッフが、経営・現場・ITの各視点で調査・分析などの準備を行うことで、設計・構築段階での手戻りや現場ニーズとのかい離を防ぐ合意形成につなげていきます。具体的には、現場から潜在的な問題や工夫を抽出する「エスノグラフィー調査」、理解しやすい形で業務イメージや課題を整理する「エクスペリエンステーブル」といった手法やツールを使いながら、協創ワークショップを実施することによってステークホルダー全員の合意形成を支援。「業務の価値を向上させるITシステム」の要件定義へとつなげ、満足度の高いシステムを提供していきます。

お客さまの新ビジネスモデルを創出するフェーズにも適用

さまざまな業種・業務分野のITシステムへの適用で、高い評価を獲得している「Exアプローチ」。近年はITシステムにおける価値創出だけでなく、お客さまの新しいビジネスモデルを生み出す手法としても注目されはじめています。

今ある製品やサービスを10〜20年先の将来的ニーズに適応させていくこと、また、今はない新しい製品やサービスを創り上げ、新たな市場を創造することは、グローバル化とコモディティ化が進む市場において企業が生き残るために不可欠なアプローチといえます。

しかし一方で、曖昧模糊(あいまいもこ)とした将来のお客さま像や、いまだ顕在化していないニーズや課題を明確にしながら、お客さまが真に求めるサービスを実現可能なビジネスモデルへと創り上げる必要があります。そのためには、ユーザーが満足できるITシステムを作るのと同様に、経験価値の視点から新たな事業やサービスを描き出し、ステークホルダー全員の合意形成による高い意識とモチベーションによって新ビジネスを推進していく力が何よりも重要だと考えます。

そこで「Exアプローチ」は、企業価値と競争力向上の源泉となる、お客さまの新ビジネスを創出する取り組みにも深く関わる新たなサービス提供を開始しました。

成果を自分たちのものとして意識改革をすすめる

「Exアプローチ」の新たな適用フェーズとなるのは、お客さまの新しい事業やサービスを創出するサービスプロデュース工程となります。従来は、この工程に含まれる「ビジョン・戦略」「サービスデザイン」「事業計画」などの策定は、お客さま自身あるいは戦略コンサルタントが担うケースが一般的でした。しかし、少数のキーマン(プロジェクトリーダー、コンサルタントなど)が技術や市場動向から将来を予測し、プロジェクトの参加者に“あるべき姿”を提示するという方法が主流だったため、発想そのものが既存の考え方の延長線上になりがちで、議論が発散したまま放置されることもしばしばでした。また、何らかの方向性を導き出せても、実現可能性の検証が先送りにされたり、プロジェクトの参加者全員での納得感が得られず次の段階に進むことを躊躇してしまったりするなど多くの課題が指摘されていたのです。

これに対して「Exアプローチ」は、人間中心設計の視点のもと、ビジネスの変化をとらえるコンサルタント、人の気持ちをとらえるデザイナー、技術の変化をとらえるエンジニアが、それぞれの持ち味をバランスよく生かしながら、協創ワークショップに参加するステークホルダー全員のフラットな対話を促すとともに、多様な視点で課題や思いを引き出し、それらの解決策の検討や将来像の共有を図っていきます。

その過程では、従来活用していた「エスノグラフィー調査」「プロトタイピング」「エクスペリエンステーブル」といった手法やツールに加え、将来の人の課題を25個の観点に整理した将来構想ツール「25 Future Signs for 2025」、サービスモデルの検討を行うカードタイプのプロトタイピングツール「BusinessOrigami」といった新たな手法も活用していきます。そして、さまざまな議論の発散と収束を繰り返し、お客さま自身が納得した形で方向性を見いだすことで、これからめざすべき「お客さま中心視点」の新サービスを創出。その成果を「見える化」し、プロジェクトに参加したメンバー全員が強い情熱と責任感を持って実現に取り組む「意識改革」へとつなげていきます。

製品やサービスを必要とする「人」を中心に発想され、きめ細かくデザインされたアイデアは、現実のモノやシステム、空間として形作られることで、人々に新たな経験価値を提供していきます。未来に向けた価値あるビジネスとイノベーションを、日立はお客さまとの信頼関係と一体感の中で協創していきたいと願っています。次ページからは、オープンイノベーションの第一歩となる「Exアプローチ」のさまざまな協創事例をご紹介します。


お問い合わせ先
(株)日立製作所 スマート情報システム統括本部 Exアプローチ推進センタ
https://www8.hitachi.co.jp/inquiry/it/ex_approach/form.jsp

情報提供サイト
http://www.hitachi.co.jp/ex_approach/


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